奄美大島いきものがたり

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 日本一美しい アマミイシカワガエル

 奄美大島固有のアマミイシカワガエル。かつては奄美大島と沖縄島北部(やんばる)に分布するイシカワガエルとされていたが、2011年に奄美大島産はアマミイシカワガエル、沖縄島産はオキナワイシカワガエルとなった。種を分ける根拠となったのは、生殖が隔離されていること、体色や模様の違い、オタマジャクシの尾の長さなどが挙げられる。

 アマミイシカワガエルは「日本一美しいカエル」と称されることがある。確かに日本国内でこんなにも派手な柄のカエルはいない。鳴き声もまた美しい。初めて聞いた人はカエルとは思わないような高くて澄んだ声である。春先の繁殖期には、夜の森の沢から「ヒョーッ、ヒョーッ」と聞こえてくる。繁殖期に鳴くオスは、繁殖地周辺で10匹程度の個体が集まることもある。

 非繁殖期にはさまざまな環境で観察できる。学校の校庭や山麓のコンクリート壁の隙間、民家の庭など、毎年のように博物館には「こんなところにイシカワガエルがいるよ!」という貴重な生息情報が入ってくるのである。

 人が手助け アマミナツトウダイ

 奄美大島固有のアマミナツトウダイ。先述のアマミイシカワガエルと同様に世界で奄美大島だけに分布しているのであるが、こちらは島内のごく限られた、道端の日当たりがよい場所に生えている。

 アマミナツトウダイが生育するためには、太陽光を浴びられる環境が必要である。そのため、周囲に生えてくる他の草本は定期的に刈り取られている。時期を選んで草を刈ることで、アマミナツトウダイが生育するのに適した環境が守られているのだ。同じように日当たりがよい環境に生育するオキナワチドリも同様の対策が行われている。知識がなければ植物の識別は難しい。有識者と草を刈る方との連携が重要である。

 世界で奄美大島のたった数カ所だけに生き延びているアマミナツトウダイ。本来は人が手を加えずに生育し続けることが望ましいが、私たちの手が入ることで生育に適した環境が維持されるという側面をもった植物も存在するのだ。


(奄美博物館)

アマミナツトウダイの花

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