鹿児島県奄美大島の山中で2月27日の夜、毒蛇ハブが国の特別天然記念物アマミノクロウサギの幼獣を飲み込もうとしている珍しい光景が目撃された。龍郷町赤尾木の碇山裕志郎さん(62)が森の生き物を観察するナイトツアーの案内中に遭遇し、写真に収めた。
碇山さんは「奄美バギー&ナイトウォッチングサービス」のオーナーで奄美群島認定エコツアーガイド。この日は島外から訪れた観光客を連れて奄美大島中部を散策中だった。
「ハブがいるなと近づいてみたら子ウサギを飲み込んでいてびっくり。さすがに苦しかったのか、半分くらい口から出た状態で固まっていた」と碇山さん。ハブは長さ約2メートルの大物だったという。
春と秋はアマミノクロウサギの子育てシーズンで、生息地の奄美大島と徳之島の山中ではこの時期、巣立ち直後の子ウサギを見ることができる。碇山さんは「ハブがウサギを捕食するのはかなり珍しいと思うが、10年前にも見たことがある。これもウサギの生息数回復の影響かもしれない」と語り、ハブを頂点とした奄美の生態系の迫力に驚いていた。

アマミノクロウサギの幼獣を飲み込むハブ=奄美大島、2月27日午後9時ごろ(提供写真)