宮浦小学校150周年記念のテーマソング「cloud」
寂しくなったらまたあの場所で
いつかの自分に会いに行く
「在校生だけでなく、卒業生、先生方、今まで関わりのあったすべての方に向けて、みんなの曲になるよう作りました。第2の校歌のように歌い継がれていってくれればと思っています」
今年2月の開校150周年記念式典で披露されたこの歌を作詞作曲した岩切芳郎さんは、同校出身、屋久島在住のシンガーソングライターだ。
縄文杉発見50周年記念のテーマソング「君と出会えた奇跡」など、企業や団体から依頼を受けて楽曲制作するほか、3ピースバンド「Fuzz LAB」のギター兼ボーカルとして屋久島の音楽シーンを盛り上げている。
東京から故郷の屋久島に家族で帰ってきたのは、12年ほど前。それまでは、東京の音楽スタジオで作曲の仕事などをしていた。2007年から2008年に放映されたアニメ「Yes!プリキュア5」の主題歌「プリキュア5、スマイル go go!」の曲や舞台音楽も手がけている。一方、井上陽水や安全地帯のプロデューサーとしても知られる星勝さんのもとで、ソロデビューの準備も進めてきた。
しかし、方向性の違いで頓挫。音楽スタジオの人員整理や子育てなど、いくつかの偶然が重なって、屋久島にUターンすることになった。
「もしもあのとき、ああしていたら……と思わないこともない」と当時を振り返る。
島に帰ってきてからは、福祉の仕事をしながら、音楽を続けてきた。
屋久島の介護・障害・児童福祉の施設・事業所が一体となって設立した「ALIVE屋久島」のテーマソング「counting out song」は、そんな実体験から生まれた歌だ。
言葉は繰り返しまた繰り返して
僕らは聞き流しまた聞き流して
あなたの怒った後には
不安そうな眼差し
掴んでも すり抜けてく
想いの中で
どうやって
繋がればいいんだろう
現場を知るものだからこそ紡ぎ出せる力強いリアルな歌がある。
屋久島に暮らす今の自分だからこそ、発信できる歌。福祉関係者を中心に、10人編成のバンドで披露した同曲は、島でも大きな話題を呼んだ。
「まだまだ成長の途中。自己流でやってきた部分も大きいので、歌も作詞作曲も勉強して丁寧に取り組めば、未だ上達する」と言い切る岩切さん。
創作活動はしんどいことも多いけど、その分、反響を受けとった時の喜びも大きい。2022年には、歌手のAdoさんが自身のYouTubeチャンネルで「プリキュア5、スマイル go go!」を歌って、同世代を中心に話題となった。
島にUターンしてから作った数々の曲も、誰かの大切な歌となって、さざ波のように影響を与えていくのかもしれない。
岩切芳郎YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@yoshiroiwakiri6736