鹿児島県奄美群島の定時制を含む高校7校で3日、2024年度の卒業式があった。2月28日に式を挙行した県立大島北高校、3月1日の樟南第二高校を含め、今年度は群島内で計713人が学び舎を巣立った。3日は天候に恵まれ春風に草木がそよぐ中、卒業生は高校生活で得た学びと出会いを振り返り、笑顔と涙で再会を誓った。
奄美市名瀬の県立大島高校(貴島邦伸校長)では、第76回卒業式を同校体育館で行った。保護者や在校生、教職員らに見守られながら3年生207人が入場。卒業生は名前が読み上げられると力強く起立し、各クラスの代表生徒が壇上で卒業証書を受け取った。
貴島校長は式辞で「君たちは学校、地域、各種大会、コンクールでそれぞれに活躍した。何事にも真剣で躍動感にあふれる大高生はかっこいい。自分や周りを幸せにするためには行動することが大切。あなたの始めの一歩が世界の未来を変えていく」と激励。
在校生代表の送辞では、山田みやびさん(2年)が「先輩方は勉強や部活動はもちろん、学校行事においても常に全力を尽くされ、私たちに圧倒的な力を示してくれた。頼もしい姿にいつも勇気をもらっていた」と思いを伝えた。
卒業生代表の花田心優さんは答辞で学校生活や行事を振り返り「どの行事も自由に楽しめなかった時期を経験した私たちだからこそ、コロナ禍前と同じ形で実施できた一つ一つの出来事がかけがえのない思い出」と語った。在校生へ向けてのエールや、保護者や教職員への感謝も伝えた。
式後は各教室でホームルームがあり、担任教諭から一人一人が卒業証書を受け取った。卒業生は時に言葉を詰まらせながら壇上であいさつ。共に過ごした仲間や保護者から温かな拍手が送られた。

代表で卒業証書を受け取る生徒=3日、大島高校
■大島高校 卒寿、卒業50年の節目祝う
大島高校では3日、卒業式の開式を前に、第6回と第26回の卒業生にも卒業証書が授与された。26回は卒業から50年を迎えた節目。6回の卒業生は数え年で90歳の卒寿を記念して開催。計70人が出席し、思い出話に花を咲かせた。
6回卒の篠原祥郎さん(89)によると、当時(1952年)の一部の入学生には、入学式までに机と椅子が一体化した「机椅子」と呼ばれる学習机を、自分たちで準備するように指示があった。現在同校には現物が残っていないため、同校の歴史を物語る「文化遺産」として現物に近い形を復元。今回、6回卒生から同校に寄贈された。
6回卒生は、現在の女子制服を初めて着用した世代。制服の考案にかかわった奄美市名瀬の永田和歌子さん(88)は「制服姿で街を歩く大高生を見る度に誇りに思っていた」とほほ笑んだ。同校では新年度、男女ともに制服が新しくなる。
貴島校長は証書授与式で「この機会に大高での青春の日々を振り返り、後輩たちの門出を祝ってもらえたらうれしい」と呼び掛けた。

「机椅子」を寄贈した同校6回卒業生と、貴島邦伸校長(左)=3日、大島高校