公益財団法人荘内南洲会(小野寺良信理事長、山形県酒田市)の会員24人が24日から、「西郷先生の遺徳を訪ねる交流の旅」で、西郷隆盛が約3年間潜居した鹿児島県奄美大島の龍郷町を訪れている。一行は西郷上陸の地や龍家の娘・愛加那を妻に迎えて暮らした家の跡地(西郷南洲謫居跡)などを訪問。志塾・西郷塾や龍郷集落の住民らと交流し、西郷の足跡や遺徳に触れた。
旧江戸幕府派だった庄内藩(現在の山形県庄内地方)は戊辰戦争(1868~69年)で降伏した後、戦闘で抵抗したことにより厳しい処分を覚悟していたが、新政府軍責任者だった西郷は同藩への寛大な処置を指示した。これに感激した同藩は藩士を薩摩藩へ派遣して西郷から教えを受け、90年に西郷生前の言葉や教えを集めた「南洲翁遺訓」が発行された。
荘内南洲会は1967年に設立した「南洲翁遺訓を読む会」から発展し、75年に発足。南洲翁遺訓の研究や講座の開講、機関誌「敬天」の発行などを行っている。
荘内南洲会の龍郷町への訪問は5年ぶり12回目。志塾・西郷塾で講師を務め、荘内南洲会の会員でもある安田壮一朗さん(71)の案内で西郷上陸の地と西郷南洲謫居跡を見学後、愛加那の墓参りを行った。
その後、西郷小浜公園で龍郷集落の住民と交流会があり、龍郷小学校の児童が荘内南洲会の会員へ、西郷に関する質問や集落の魅力を発表したほか、住民が八月踊り、六調を披露。志塾・西郷塾は郷土料理を振る舞い、一行をもてなした。
初めて奄美大島を訪れたという小野寺理事長(75)は「龍郷町での足跡や龍郷集落の歓迎ぶり、天真らんまんな子どもたちの姿を見て、南洲翁がこの地で幸せな生活を送っていたことを実感した。今後は隔年で奄美大島を訪れたい」と述べた。
龍郷集落の國分邦一区長(77)は「山形県で西郷さんの功績を広める活動をしている荘内南洲会の存在は大変ありがたい。互いに西郷さんを敬い、たたえる立場として、今後も交流を深めたい」と話した。
一行は25日まで滞在し、奄美市名瀬芦花部の南洲神社を参拝した後、龍郷町と同市笠利町の公共施設などを見学する予定。

5年ぶりに奄美大島を訪れ、西郷隆盛縁の地を巡った荘内南洲会の会員=24日、龍郷町