徳之島コーヒー生産者会(泉延吉会長、会員30人)は11日、鹿児島県徳之島・伊仙町面縄のAGF第2実証農場と同町伊仙の直売所「百菜」で、収穫から試飲までを体験する「徳之島コーヒー収穫祭2025」を開催した。今年で2回目。1982年、島内に初めて苗を植えてから42年。「徳之島コーヒー」が産業化に向けゆっくりと「結実」しようとしている。
徳之島コーヒーは1982年、故吉玉誠一さん(2023年没)が宇検村の関係者からコーヒーの苗を分けてもらい、徳之島に植えたのが始まり。「コーヒーを徳之島の産業にし、コーヒーアイランドにしよう」と2017年、農家と役場、商社と飲料メーカー4者が「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト」を発足させた。
現在、生産者会には約30人が加入。島内各地でコーヒーの木を栽培している。24年2月には伊仙町面縄のAGF第2実証農場で住民参加型の収穫祭を初開催。同年10月には、初の商品となるドリップパッグ型コーヒーの販売が実現した。
2回目となる今年も多くの家族連れが参加。農場で赤く実ったコーヒーチェリーを収穫した後、「パルピング」という実から種を取り出す作業も体験。豆を脱穀して皮をむいた「グリーンビーン」となるまでの工程も見学した。
直売所「百菜」ではグリーンビーンを好みの煎り具合まで焙煎(ばいせん)し、その場で粉に引く体験も。徳之島コーヒーと他の種類のコーヒーを飲み比べる試飲会もあった。
収穫体験から参加した亀徳小学校の児童は「コーヒーの実がどこになるのか、どんな色をしているのか知ることができた」と笑顔。初めて徳之島コーヒーを試飲した伊仙町伊仙の介護職員女性(60)は「飲みやすくておいしい。地元でこんなコーヒーができるとは驚き。本土の親族にも勧めたい」と話した。
泉会長は、徳之島コーヒー生産支援プロジェクトについて「商社や飲料メーカーが協力してくれることで安定して栽培することができるのがありがたい」と話す。同プロジェクトに協力する味の素AGFの島本憲仁社長は「国産コーヒーに対する消費者の関心は非常に高い。売れる販路はつくる。徳之島の新たな産業になるよう構築していきたい」と話した。
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実ったコーヒーチェリーを収穫する子ども=11日、伊仙町面縄のAGF第二実証農場
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豆の焙煎体験をする参加者=11日、伊仙町伊仙の直売所「百菜」