あけましておめでとうございます。
YakushimaFilmのシュンゾウです。
今年もどうぞよろしくお願いします。
2025年最初の投稿は屋久島の伝統産業を支える職人さんの話題です。
安房にある有水製材所では杉の苗作りから植林、伐採、そして製材までの一連の行程をすべて自社でおこなっています。今回はその中でもなかなか知られていない「目立て」という作業を紹介します。「目立て」とは、のこぎりの刃がつぶれ切れ味が鈍ったものを、再び鋭くする作業です。
のこぎりは包丁やハサミとは違い砥石で研ぐのではなく、機械(上の写真)で刃の部分を削り、全て取り除きます。その後、新たな刃を溶接で取り付けていきます。
屋久杉を製材するための帯鋸(おびのこ)はとても長く刃の数が多いため「目立て」は大きな手間がかかります。そのため多くの製材所では「目立て」は外注することが多くなっているようです。
土産品の原料となる屋久杉は土埋木といって数百年間、森の中にあったものを活用しています。そのため石や砂が隙間にはまっており帯鋸の刃はすぐ切れ味が悪くなってしまうそうです。
屋久島には「目立て」のできる業者がないため、本土に送る必要がありますがコストも相当かかってしまうので、有水製材所では自社で「目立て」を行っています。
担当する有水義人さん、半世紀あまり「目立て」の作業に取り組んでいます。屋久島では「目立て」ができる職人は有水義人さん一人になってしまったそうです。屋久杉の工芸品が土産店に並んでいるのは有水義人さんの手腕だと言っても過言ではありません。
島でもあちこちで人手不足だという話をここ数年、よく聞くようになりました。有水製材所も同様に人手不足に悩まされているそうです。
この「目立て」の技が、次の世代に継承されることを願ってやみません。
屋久島の伝統産業を支える「目立て」動画でもお届けします。ぜひご覧ください。