鹿児島県沖永良部島の伝統行事「墓正月」が16日、島内各地で行われた。各家の墓前で親族が料理を囲む昔ながらの風景も見られた。
「和泊町誌(民俗編)」(1984年)、「知名町誌」(82年)や島民の話によると、墓正月はかつて旧暦の同日行われ、タイモ餅や菓子、料理などを作って墓参する。正月前に迎えた先祖を送る日とする説や先祖と共に正月を祝う日とする説も。現在は簡素化され、墓前に集まる家は少なくなったが、知名町の田皆と瀬利覚で多く続けられている。
知名町田皆ではこの日、午前から墓前に集まる一族の姿が見られた。大阪府在住で同集落出身の川﨑沙矢香さん(33)は、夫・仁樹さん(33)の親族を連れて約20年ぶりに参加。「高齢化で墓正月をする家庭が少なくなっていると感じた。墓正月がなくなってほしくはないが、現実的にそれを引き継げるかは難しいところもある」と思いを話した。
初参加の仁樹さんは「お墓の前に集まるという文化がすごい。大阪では親戚付き合いも少なくなってきているので、いいなあと思った」と笑顔で話した。