サンゴ白化が深刻 奄美大島=6割以上が死滅、高い海水温影響か

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 鹿児島県・奄美大島沿岸の広範囲で確認されたサンゴの白化現象について、奄美海洋生物研究会(興克樹会長)は10日、調査結果(速報)を発表した。調査地点全てで白化によるサンゴの死滅が見られ、平均死滅率は61・2%だった。2024年は8月末まで台風の接近がなく、海水温が高い状態が続いたことが原因とみられる。

 サンゴの白化は、共生する褐虫藻(かっちゅうそう)という藻類が失われることでサンゴの白い骨格が透けて見える現象。海水温の変化や強い日差し、水質汚染などのストレスによって発生し、白化状態が続くとサンゴは栄養源を失い死滅する。

 同研究会は今年8月、奄美市名瀬の大浜海岸と同市笠利町の用安海岸、大和村の国直海岸の礁池内などで白化を確認。いずれも海水温が上昇しやすく、日差しの影響を受けやすい水深1~2メートル以内の礁池内で発生していた。

 白化の確認を受けて10~11月に行った調査では、礁原(リーフ)や笠利湾、住用湾、思勝湾の浅い場所で死滅率が高く、礁斜面(リーフ外側斜面)や大島海峡では死滅率が低い傾向にあった。調査した63地点のうち、死滅率50~74%が28地点、75~100%が24地点で、約8割の調査地点で半数以上のサンゴが死滅していた。

 台風が接近すると海水温が2~3度下がり、サンゴの白化による死滅を軽減する効果があるが、今年は奄美大島への台風の接近が遅かったことから被害が広がったとみられる。奄美市笠利町の神の子礁池に設置している水温計データでは8月の平均海水温が前年より2・1度高かったという。

 奄美大島沿岸では1998年に大規模な白化が発生し、中北部の礁原のサンゴの多くが死滅。2000年から07年にかけてはオニヒトデの大発生で南部海域のサンゴも大きな被害を受けた。1998年以降、数年おきに白化が発生し、白化に耐性を持った群体が生き残って礁原を優先していたが、今年の白化は98年の被害規模に匹敵するという。

 興会長は「現段階ではオニヒトデの大発生の兆候はなく、深い場所のサンゴは比較的影響が少なかった。今後の回復に期待したい」と述べた。

白化の後に死滅したサンゴ=10月17日、鹿児島県大和村の思勝湾(興克樹さん撮影)

 

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