鹿児島県喜界町(喜界島)の島中集落(25世帯50人)で7日、「亥(い)の日遊び」(豊年祭)があった。毎年、旧暦10月最初の亥の日に行われる伝統行事で、地元住民や出身者が集落の氏神のもと一堂に会し、戦前から伝わる棒踊りや八月踊りなどを奉納。豊作と安全を祈願した。
島中集落の棒踊りは、大正時代から続く男性の棒踊りに、後に創作された女性の棒踊りがあり、2017年に「島中棒踊り」として同町の無形民俗文化財に指定された。
集落の保食神社前に住民や出身者がそろいの浴衣や法被姿で集まり、午後2時の八月踊りを皮切りに祭りが始まった。「チンダラ節」「草津節」で軽やかに棒を打ち合う女性たちの棒踊りや、6尺棒や3尺棒で勇壮に踊る男性の棒踊り、ほっかむりに前掛け姿の女性たちがざるを持ってテンポ良く踊る「安来節」「稲すり節」が続いた。土俵では相撲甚句とともに男性陣が力強い演武を披露。大きな拍手が送られ、和やかな雰囲気のもと年内最後のシマ(集落)遊びが終了した。
来春、県外へ進学予定の高校生は「卒業を前に集落の伝統的な踊りに母親と一緒に参加できうれしかった。この楽しい思い出を大切にしたい」と話した。2年前に夫婦で同集落に移住した瀧口茜さんは「集落行事への参加は2回目。踊りを優しく手ほどきしてくれ、その触れ合いが最高に楽しい時間だった。本番が終わってしまい寂しい」と惜しんだ。
玄之内忠則区長は「互いの絆で集落の伝統行事を大切につないできた。これからも地域の絆を大事にして続けていきたい」と語った。