鹿児島県奄美大島の希少な固有種や在来生物を捕食して生態系に深刻な被害をもたらした特定外来生物のフイリマングースについて、環境省は3日、島内全域での根絶を宣言した。1993年に捕獲事業が始まり、捕獲総数は約3万2千匹。陸域総面積712平方キロという広い範囲で長期間定着したマングースの根絶は世界初という。同省自然環境局の植田明浩局長は「科学的根拠に基づき防除事業と根絶可能性の立証が行われたことは世界に誇れる。これを教訓として、外来種対策の普及啓発につなげたい」と語った。
環境省などによると、奄美大島のマングースは1979年ごろ、沖縄から持ち込まれたものが奄美市名瀬で放され定着した。沖縄ではかつて毒蛇ハブの天敵として導入された歴史があるが、実際にはハブ対策としての効果はなく、奄美大島ではアマミノクロウサギやアマミヤマシギ、昆虫類やカエルなど希少な固有種を捕食しながら森林内まで生息域を拡大。ピーク時の2000年には推定約1万匹まで増えた。
地元自治体による捕獲が1993年に始まり、同省も事業調査などを経て2000年から本格的な駆除事業を展開。05年には同省から委託を受けた専門の捕獲従事者集団「奄美マングースバスターズ」が発足し、同年施行の外来生物法に基づいてわなによる捕獲や探索犬、毒餌も用いて段階的に駆除を進めた。00年度から24年度までの環境省のマングース対策関連事業費は計約36億円。
マングースの防除が進んだことで、アマミノクロウサギやアマミトゲネズミ、ケナガネズミ、アマミイシカワガエルなどの在来生物の生息状況は回復傾向が続いている。植田局長は会見で①入れない②捨てない③拡げない│の外来種被害予防三原則を提示し、改めて外来種の取り扱いについての注意喚起を行った。