鹿児島県奄美大島の奄美ナイトツアーガイド協会(横尾伸広会長、5事業所)は8日夜、奄美市住用町で親子観察会を開催した。国の特別天然記念物アマミノクロウサギのほか、アマミヤマシギやアマミイシカワガエル、オットンガエルなどの希少な生き物が次々と現れ、参加者は歓声を上げて夜の森の冒険を楽しんだ。
親子観察会は、世界自然遺産にも登録された奄美の自然の魅力を地元の子どもたちに知ってもらい、観察のルールを学んでもらうとともに、環境保全への意識向上を図るのが目的。奄美群島認定エコツアーガイドとして同町の市道三太郎線でナイトツアーを展開している横尾会長らの発案で、地元の児童と保護者らに参加者を募った。
8日は家族連れと教諭ら9人が参加。はじめに認定ガイドの井上祐輔さんが奄美大島の自然環境について▽温暖湿潤な気候で島の8割が森林に覆われている▽大昔に大陸から切り離され生き物が独自に進化した▽世界中でここにしかいない動植物がたくさんある―などと説明。
横尾会長は外来種やロードキルの問題、事前予約制や速度制限などを定める三太郎線の夜間利用ルールなどにも触れ、「知ることから保全が始まる。ツアーを通して世界に誇る奄美の自然の魅力を感じてほしい」と呼び掛けた。
横尾さんによると、暖かい東風が吹き時折小雨が降るこの日は「ナイトツアーのベストコンディション」。参加者は四輪駆動車2台に分乗して出発し、道路脇で草を食(は)むアマミノクロウサギや親子連れのアマミヤマシギ、枝先で眠るオオトラツグミやリュウキュウアカショウビン、さまざまに鳴き交わすアマミイシカワガエル、アマミハナサキガエル、オットンガエルと、それらを狙うハブやヒメハブなどを観察した。
この日初めてアマミノクロウサギを見たという東城小学校の児童は「写真で見るよりも丸っこくてかわいい。毛の色が少し茶色いことも発見した。初めて夜の森に入ってとても楽しかった。次はケナガネズミを見てみたい」と笑顔で話していた。