鹿児島県沖永良部島の伝統菓子ゆきみしの魅力を伝える「ゆきみし祭り」(知名町社会福祉協議会主催)が10月14日、同町フローラル館であった。町内外から親子連れなど30人余りが来場。ゆきみしを試食したほか、関連するゲームやワークショップを楽しんだ。ㅤㅤㅤ
和泊町誌(民俗編)によると、ゆきみしは県本土の高麗餅(これもち)の変形で、江戸時代の1691年、薩摩藩によってその製法が伝えられたとされる。もち米粉、うるち米粉、黒砂糖、白糖、水を混ぜ合わせて蒸し器に形を整えて入れ、蒸して作る。
冠婚葬祭用の菓子として尊ばれてきたが、近年は新型コロナウイルス禍もあって、食す機会が減少。イベントは、人と人、人と伝統菓子のつながりを再確認しようと初めて企画し、県共同募金会の「赤い羽根ポスト・コロナ社会に向けた福祉活動支援事業」を活用した。
オープニングは、約40センチ四方の大きさに蒸されたゆきみしが、みこしに載せられ、4人に担がれて登場。来場者からは拍手と歓声が沸き起こった。現在もゆきみしを作り続けている知名町の手作り特産品店「青幻(せいげん)の郷よっちゃん」の松元ヨシ子さん(73)が司会者のインタビューに応じ、作り始めたきっかけや思いを語った。
会場では、沖永良部島やゆきみしにちなんだ巨大すごろく、ゆきみしをデザインしたトートバッグのワークショップ、「ゆ・き・み・し」の4文字を頭文字にした作文コンテストなどが楽しめた。
後半は出来たてのゆきみしを切り分けて参加者で味わった。初めて食べたという住吉小学校の児童は「ゆきみしって何だろうと思って参加した。食べてみたらおいし過ぎ」と満足した様子だった。
松元さんは「嫁ぎ先で『これ(ゆきみし)は大事なものだから』と言われたことを今でも覚えている。作れる人が減り、自分も続けられるかなと不安に思っていたところ、このようなイベントが開かれ、うれしい」と話した。
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