一度きりの人生「やりたい事」を

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プロローグ

東シナ海と太平洋に位置する円形の山岳島『屋久島』は、九州最高峰の宮之浦岳を筆頭に1000mを超える山々が連なることから「洋上アルプス」とも呼ばれている。樹齢7200年といわれる縄文杉をはじめとする“屋久杉”は全国的にも有名で、1993年に日本で初めて世界遺産に登録された。
そんな屋久島の深くも美しい自然に魅了され、埼玉県から移住してきた内室二郎さんは、屋久島で樟脳つくりを行なっている。なぜ内室さんが選んだ移住先は屋久島だったのか?樟脳作りを仕事にすることになった経緯は?前編では移住を決意するに至るまでのお話しを聞いた。

インタビュー:満崎千鶴 撮影:高比良有城 取材日2020年3月

屋久島移住への道のり

海と山と川が全て揃う屋久島の風景

「山と川と海が身近にあって、水も空気も最高に美味しい。そんな屋久島の自然に入り込めたことが嬉しい」と、穏やかに話すのは内室二郎さん(46歳)。

穏やかな表情でインタビューに答える二郎さん

若いころから登山が好きで、日本国内は元より世界中を旅しながら美しい風景を写真に収めていたという二郎さん。屋久島に移住してくる前は東京で舞台美術の仕事をしていたそうだ。

二郎さんが撮影した美しい自然

「割と休みの融通がきく日給月給の仕事だったので、働いては色々なところに旅に出て写真を撮る…という日々を過ごしていました。屋久島に出会ったのもそんな旅の途中」と二郎さんは当時を振り返る。

Photo:内室二郎

美しくも深く、神秘的な屋久島の山に魅せられた二郎さんは、しばらく東京と島を行き来しながら写真を撮り続けていたが、いつの日からか“土地に根差した写真を撮りたい…”と思うように。

「30歳を超えて自分の人生を振り返り、一度しかない人生だから残りの時間はやりたいことをやらなければ!と思い移住を決意しました」と二郎さん。
こうして東京を離れ、屋久島での生活をスタートしたのは今から13年前のことだった。

夫婦を結んだ屋久島の自然

奥様の紀子さんは1999年まで生まれ育った神戸で過ごし、2年間のカナダ留学中にアウトドアの勉強をした。その後、“日本国内で海と山と川があってお水と空気の美味しいところはどこかな?”と模索したところ、屋久島へとたどり着いたそうだ。

屋久島の風景

“ひとまず行ってみよう!”“と屋久島へ1人やってきた紀子さんはそのまま島への移住を決めた。
2人の出会いは、二郎さんが東京と屋久島を行き来していた頃に遡る。

二郎さんが屋久島へ訪れる度、決まって宿泊していた民宿『晴耕雨読』に、当時ガイドをしていた紀子さんが頻繁に出入りしていたことが縁を結んだのだ。2人は同じ目的を胸にこの島を選び、移り住んできた。まさに、出会うべきして出会った2人だった。

妥協をしない『さ・し・す・せ・そ』

紀子さんは現在ガイドをしつつ、屋久島町宮之浦にて自然食品と雑貨を取り扱うお店『椿商店』を営んでいる。

笑顔で話す紀子さん

椿商店の店内

二郎さんの工場で作られたクス(楠)の精油もチップと一緒に販売している。

「結婚して子供が生まれてから、自分たちが口にするものにふと意識が向くようになり、とても気を配るようになりました。屋久島にも一軒だけ自然食品を取り扱うお店があったけれど、そのお店が長期休業してしまって…だったら自分たちで、島に暮らすお母さんたちが安心してお買い物できるお店を作ろう!と思い2015年に椿商店をオープンしました。」と紀子さん。

椿商店では、料理に使う調味料『さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)・せ(醤油)・そ(味噌)』には強いこだわりを持っている。

長男の春太郎くん直筆の可愛らしいポップ

「お店に並ぶ商品は、子育て世代のお母さんたちが安心して使えるものを…と一歳になったばかりの息子を車に乗せ、家族で旅しながら自分たちの足で探して集めた九州産の食材ばかりです。今では幅広い世代の皆さまが足を運んで下さるのでとても嬉しい!」そう話す紀子さんの笑顔からは、すっかり島の暮らしにも慣れ、充実した日々の様子が伺えた。

※後編では現在二郎さんが行なっている樟脳つくりのお話しと、これから家族が目指す暮らしについて伺います。

内室さんの鹿児島暮らしメモ

かごしま暮らし歴は?

13年目です。

Iターンした年齢は?

33歳

U•I•Jターンの決め手は?

自然の素晴らしさ

屋久島の好きなところ

自然の素晴らしさや、面白い人がたくさんいるところ。悩みを抱えていると親身になってアドバイスをくれる温かい人たちがいるところ。

かごしま暮らしを考える同世代へひとこと!

女性と違って男性は大きな決断を下す時は結構悩むけれど、一度きりの人生なので自分のやってみたいことをうまくイメージして成し遂げでください!


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