“人生の折り返し”をきっかけに早めた移住生活(前編)

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https://www.youtube.com/watch?v=N6q8iojLb0Q

プロローグ

鹿児島県北西部に位置し、北部に標高1067mの紫尾山を望むさつま町は、平成17年3月に宮之城町・鶴田町・薩摩町の3町が合併して誕生した山紫水明の静かな町。5月になるとたくさんのホタルが川を乱舞することから、その幻想的世界を一目見ようとたくさんの観光客が訪れる。
2017年11月に広島県からこの町へ移住してきたのは川西大輔さんご家族。
縁もゆかりもなく、訪れたことさえもなかったさつま町への移住を決めた経緯と、現在の生活について話を聞いた。

インタビュー:満崎千鶴 撮影:高比良有城 取材日2019年9月

“かごしま暮らし”への第一歩

2017年に広島県から薩摩郡さつま町へ移り住んできた川西大輔さん(40歳)。

大輔さんは現在、さつま町の「地域おこし協力隊」として様々な活動を行なっている。以前暮らしていた広島では、居酒屋やBARなどの飲食店を数店舗経営していたというが、あるタイミングをきっかけに縁もゆかりもないさつま町への移住を決意。
奥様の麻弥さん(34歳)、長男の十太くん(3歳)を連れてこの地へやってきた。

川西さんご家族

「60歳(定年)を過ぎた“老後”は、南国でのんびり暮らしたいと夢見ていましたが、40歳の誕生日を迎えた時、“人生の折り返し地点”であることに気づいたのです。

広島で暮らしている時は、とにかく忙しい毎日で子供と遊ぶ時間も家族で過ごす時間もない状況だったので、わざわざ定年を待つ必要はないんじゃないか?今行こう!と移住を決意しました。移住先は沖縄にするか鹿児島にするか迷いましたが、大好きな温泉がある鹿児島に決めました。」と話す大輔さん。

川西麻弥さん

「私自身も生まれ育った島根県から離れ生活していたので、どこかへ移り住むことに気負いはありませんでした。それより、新しい出会いが楽しみだったし、どちらかと言うとワクワクしていました。主人が楽しく仕事をしていることが家族の“楽しい”に繋がると思っているので、主人の夢を応援しました。」と笑顔で話す奥様の理解と後押しもあり、広島で経営していたお店は各店舗の店長に設備ごと無償で譲り渡し、“かごしま暮らし”へ向けた初めの一歩を踏み出した。

たどり着いた“地域おこし協力隊”、そして出会ったさつま町

「行き先は鹿児島!」目的地を決めた大輔さんと麻弥さんは早速鹿児島について調べ始める。そこでたどり着いたのが、現在大輔さんが活動を行なっている「地域おこし協力隊」だった。

地域おこし協力隊とは(※)人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に受け入れ地域協力活動を行なってもらいながら、その定住・定着を図ることで地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度。任期は各地方自治体により異なるが、おおむね1年以上3年以下となっている。(※移住・交流促進機構より抜粋)

もともと家族みんなでのんびり、“田舎暮らし”をしたいという希望があった大輔さんにはピッタリの条件だった。

早速、募集を行なっていたいくつかの地方自治体へ応募すると、一次審査の書類選考に通過。二次審査となる面接を受けるため、初めて鹿児島の地を踏んだ。

「鹿児島には一度も来た事が無かったので正直、鹿児島=南国で暖かい・桜島・火山灰というイメージしかありませんでしたが、いくつもの町を見て回るとそれぞれ風景が違って良いな〜と思いました。妻とさつま町の下見をしている時、子供たちが横断歩道を渡ろうとしていました。車を止めると、手をあげて横断歩道を渡る子供たち。ここまではよくある風景だと思いますが、渡り終えた子供たちがみんなで私たちへ向かってお礼のお辞儀をしてくれたんです。初めて見た子供たちの姿にとても驚き感動しました。こんな町で子育てが出来れば、きっと良い子に育つはず!と思い、この町に暮らすことを決めました。」と決め手となった経緯を語る大輔さん。

「横断歩道の話もそうですが、“たけのこオブジェ”だったり、地域のご当地キャラ“さつまるちゃん”“竹の工芸センター”など、さつま町には気になるものが沢山ありました。この町には主人の力を発揮できる機会がたくさんあるのではないか?という期待もあり、さつま町に決めました。」と奥様の麻弥さん。

川西さんご家族


“何気ない日常”と“町の素材”に大きな可能性を感じた川西さんご家族は、こうしてさつま町の一員となった。

初めて感じた地域と人の暖かさ

さつま町に移り住み早1年11ヶ月。間も無く2年目を迎えようとしている川西さんご家族。

マンション暮らしで隣に住んでいる人の顔も知らず、道ゆく人たちと挨拶を交わす事もなかったという広島での生活とは一変し、人の暖かさや暮らしやすさを実感しているという。

「さつま町に来てすぐ、家族3人ともインフルエンザにかかってしまって…家の中にこもっていたら、主人の職場の人たちがドアノブにご飯をかけて置いていってくれたり、隣のおじちゃんが採れたてのタケノコを玄関先に置いていってくれたり。他所から来ている私たちのことをとにかく気にかけてくれるので今まで感じたことのない暖かさを感じています。当たり前の事だけど、朝起きて窓開けたら緑がいっぱいだとか、子供が虫を平気で捕まえて帰って来たりとか(笑)たくましく育っている姿を見るとさつま町にきて良かったな〜としみじみ感じます。家の近くの散歩コースに牛がいるんですけど、牛と関わることなんて都会ではまず無いですよね?今日は牛を見に行こうか!なんて自然に言えるのも田舎ならではの事なので(笑)。あえて言うならさつま町には海が無かったことだけが予定外でしたけど(笑)」と笑う麻弥さん。

「そうそう!海がなかった事だけが計画と違いましたね(笑)でも、車で30分ほど走れば東シナ海にも行けるし、さつま町には美しい田園風景や竹林、5月になるとたくさんのホタルが乱舞する綺麗な川があります。」

ホタルが舞うさつま町の美しい川

「世界中のホタルを集めて来たんじゃないか!?ってくらい飛び回るんですよ。」

自然が織りなす幻想的な風景

「ここに来るまであんなにたくさんのホタルを見た事は無かったので本当に感動しました。」と大輔さん。
地域の方たちの温かさを肌で感じながら、自然いっぱいの田舎暮らしを楽しんでいるようだ。

※後編では川西さんご家族の今と、未来ビジョンについて伺います。

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