生産者の熱い想いに引き寄せられて(前編)

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プロローグ


「楽天ふるさと納税」や「ふるさとチョイス」等地方創生事業に関するウェブサービスを通し、鹿児島の自治体や生産者をサポートしているLR株式会社。その代表取締役である末永祐馬さんは、東京の大学を卒業後、楽天株式会社に入社。鹿児島支社へ配属となり、その4年後、鹿児島で起業した。神奈川県綾瀬市で生まれ育った末永さんが、鹿児島で会社を構え、腰を据えることを決意した理由とは?

インタビュー:奥脇 真由美 撮影:高比良有城 取材日2019年4月

ふるさと納税サイトに出品している販売元で取材する末永さん

南北約600km、温帯から亜熱帯にまたがる広大な県域を有する鹿児島県には、その豊かな自然環境や伝統文化に育まれた様々な特産品がある。黒豚、黒牛、さつま揚げや芋焼酎、かつお節にサツマイモ、それら生産物を生かした加工品や、かるかんなどの郷土菓子、400年以上の歴史がある薩摩焼…。ふるさと納税サイトの運営サポート等を通して、そういった特産品の魅力や、生産者の想いを消費者へとつなぐ役割を果たしているのが、末永さんが2年前に立ち上げたLR株式会社だ。

十数年ぶりの鹿児島魅力ある人たちとの出会い

鎌倉~安土桃山時代に栄えた山城・一宇治城跡(現城山公園)から望む日置市街地

鹿児島県日置市にあるLR株式会社本社。ここはもともと末永さんの祖父母宅だった場所。末永さんは神奈川県綾瀬市出身だが、親の実家が日置市で、末永さん自身も小学生の頃までは正月に帰省し、親せきと初日の出を見に行ったり、初詣へ行ったりした想い出がある。そんな縁もあったためか、大学卒業後に就職した楽天では、入社後まもなく鹿児島支社へ配属となった。鹿児島支社では、楽天にネットショップを開設している地元の企業や生産者に対するコンサルティング業務を担当。

思い出深い祖父母宅をリノベーションして構えたLR株式会社本社 (写真提供:LR株式会社)

「はじめのうちは鹿児島の方と話すとき、どこか構えられている感じがあったように思います。会って話していくうちに、お客さんとも次第に仲良くなれていきましたね。」

子どもの頃以来、十数年ぶりにやってきた鹿児島で、少しずつ人間関係を築いていった。楽天鹿児島支社で働いていた4年間で、200社近い企業・生産者を担当。仕事を通して、多くの魅力的な人たちに出会った。
 
「皆さん自分の仕事にとても誇りを持っていて、『鹿児島を良くしよう、盛り上げよう』という気概のある人も多く、それがすごくいいなあと。そういう人たちと、もっと芯まで入り込んで一緒にお仕事していきたい、根を張って貢献できたら、と思うようになりました」

生産者の想いを、より広く深くサポートしたい

熱い思いとこだわりを持って仕事に取り組んでいる企業や生産者のなかには、作ることは得意だが、一方でネットには弱いという人も少なくなかった。それを「もったいない」と感じていた末永さん。

「そういった弱点をちゃんとサポートする会社があったら、もっといい方向に向かっていくんじゃないかなと思いました」

それまでは、ネットショップで売り上げを伸ばすためのコンサルティング業務のみを担っていたが、それだけでなく、ネット販売をどのような仕組みでやっていくのか、商品の魅力をどんなふうに伝えるかといったところまで、広くサポートしていける会社を立ち上げたいと考えるようになる。

また、末永さんと同じ神奈川県出身で、人口減少の進んでいた鹿児島県長島町へ移住し、地域おこしに力を注いでいる土井隆さんとの出会いにも背中を押された。土井さんは長島町の地域おこし協力隊に就任したのち会社を設立し、様々な地域活性化策を打ち出してきた人だ。

「地方に根付き、地方創生のために自分の経験を生かす。そういう生き方ってあるんだなと、うらやましく感じましたね。自分にもそんな道があってもいいんじゃないかなと感じるようになりました」

熱い思いを持つ多くの人たちとの出会い、そしてもともと30歳までには起業したいと考えていたこともあり、社会人となって4年目の2016年、楽天を辞め、LR株式会社を立ち上げた。

後編では、末永さんが目指すものや地方創生への想い、これからの展望についてお話を伺います。

末永祐馬さんの鹿児島暮らしメモ

かごしま暮らし歴は?

6年目です。

U•I•Jターンした年齢は?

22歳

U•I•Jターンの決め手は?

ごはんがおいしい。人があったかい

かごしま暮らしを考える同世代へひとこと!

目標を持って頑張る人をすごく応援してくれる土地柄。自分もいろんな人のサポートがあって今があります。

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