東京生まれのルリカケス、奄美へ 大和村=「くるぐる」で飼育展示、島の宝2羽

更新日:

 島の宝が、また一つ「くるぐる」に加わった―。鹿児島県大和村思勝に今春オープンしたアマミノクロウサギミュージアム「QuruGuru」(くるぐる)で、大都会の東京で生まれ育ったルリカケス2羽が展示されている。奄美大島でルリカケスを屋外飼育展示する試みは初めて。奄美固有の鳥が同施設の「ひるにわ」で羽を休める姿に、来館者はいとおしいまなざしを向けている。

 ルリカケスは世界で奄美大島と加計呂麻島、請島のみに生息するカラス科の野鳥。国の天然記念物と、鹿児島県鳥に指定されている。美しい瑠璃色と赤茶色の羽が特徴。

 2羽のルリカケスは、東京都の上野動物園で飼育しているペアから生まれた雄と雌の個体で、4月30日にくるぐるに移送。同動物園は2009年から本種の継続的な飼育に取り組み始め、現在では日本動物園水族館協会が種の保存を目的に行う「ルリカケスの生息域外保全計画」の主体施設としてルリカケスの飼育と繁殖を行っている。

 同計画には奄美野鳥の会が協力している。毎年、龍郷町を中心に設置されている巣箱を見回りながら繁殖状況を確認し上野動物園へ連絡。連絡を受けた動物園職員が来島し、野生の個体群に与える影響を最小限にするため、巣箱の中で一番小さなひなを選んで捕獲した後、同動物園へ移送している。

 くるぐるの豊田英人獣医師によると、現在展示されている個体は全長約35センチ。雄は2歳で、体重は約180グラム。雌は1歳で、重さ約150グラム。雌は羽が生え変わる「換羽(かんう)」の最中だという。両個体とも食欲旺盛で、コオロギや鳥用のペレットにリンゴやバナナを混ぜたものを食べ、仲良く過ごしている。

 豊田獣医師は「野生により近い環境で種の生態を研究できる。将来的には繁殖を目指したい」とした上で「ルリカケスの姿をじっくり観察し、島の人にとって身近かつ貴重な鳥の生態を学んでほしい。全国規模で取り組んでいる保全活動を来館する方に知ってもらえたらうれしい」と呼び掛けた。

 東京都台東区から21日に来館した髙橋和弘さん(74)、公子さん(75)夫妻は「色鮮やかできれいだった。上野動物園で飼育されているとは知らなかったので、そちらにも足を運びたい」と笑顔を見せた。

アマミノクロウサギミュージアム「QuruGuru」の屋外飼育場「ひるにわ」で飼育されているルリカケス=21日、大和村

 

『南海日日新聞』LINEニュース配信中

その他のニュースはLINEでチェック!

友だち追加

-あまみじかん
-, , , ,